「リモートワーク」と「テレワーク」の違いとは?
日本では働き方の多様化が進んでいます。特にコロナウィルスの影響で現在は、少し前よりも通勤から在宅勤務へと多くの企業がシフトを行い始めました。それは「テレワーク」や「リモートワーク」とも呼ばれる勤務形態です。どちらも同じような意味合いで言葉が使われていますが、その違いとは何でしょうか。今回はテレワークとリモートワークの内容と違いについて紹介します。
「リモートワーク」とは
リモートワークは英語で表すと「remotework」です。これは遠く離れた場所で働くということから「remote=遠隔・遠い」、「work=働く」の単語から生まれた言葉です。言葉の成り立ちからも分かるようにリモートワークとは、自宅などオフィスから離れた場所で働くことを指します。しかし、この言葉自体は最近になって使用されるようになったので、現在のところ明確な定義も存在していません。
「テレワーク」とは
テレワークには次のような定義があります。テレワークとは「情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のこと。テレワークという言葉は、離れたところで働くという意味で英語の「tele=離れた所」「work=働く」から成る造語です。テレワークの起源は1970年代のアメリカで、自動車による大気汚染や石油危機の影響により自宅で仕事をするようになったのが始まりで、日本でのテレワークは1984年にNECの事例が初めてだとされています。
「リモートワーク」「テレワーク」のメリットとデメリット
ここまでの説明でリモートワークとテレワークは、名前が違っても内容は同じであることが分かります。そして、ここではリモートワーク・テレワークのメリット・デメリットを「働く側」「企業側」に分けて紹介します。
働く側のメリット
仕事の効率が上がり時間に余裕が生まれる
自分の働きやすい環境を思い通りに整えることができるので、モチベーションも上がり仕事の効率も向上します。そして通勤が無くなるので、その分時間に余裕が生まれ、空いた時間を好きなことに使うことができます。
家事・育児・介護を両立させた働き方ができる
通勤型の働き方では、介護や育児のために退職や休職を余儀なくされます。しかしリモートワークでは自宅にいながら働くことが可能になり、これらの両立ができます。
企業側のメリット
コスト削減ができる
通勤型ではオフィスやデスク・イスなど、場所や設備そして交通費などの経費が必要です。リモートワークにすることで、従業員の通勤にかかる交通費やオフィスは縮小するか必要がなくなるので、その分のコストを削減できます。
これまで雇用が難しかった人材を確保できる
通勤型の場合では、雇用する際に勤務地や通勤距離などの条件が付いてまわります。そのため、採用したい人材でも条件が合わず雇用できなかったケースもあったでしょう。しかしリモートワークでは従来の制約がなくなり、これまで難しかった優秀な人材を確保できる可能性が広がります。
働く側のデメリット
仕事の効率が低下する
メリットでは仕事の効率向上が見込めると紹介しました。しかしそれには自己管理が重要であり、個人の取り組み方によっては反対に仕事効率が低下することも十分考えられます。
孤独になる
当然ながらリモートワークは基本的に一人で仕事をすることになります。それまで他の従業員と同じ空間で働くのが当たり前のことでしたが、一人になって人との会話が減り孤独を感じてそれがストレスになることも考えられます。
企業側のデメリット
従業員の管理が難しくなる
オフィスでの仕事は従業員が目の届く場所にいるので、様々な面で管理のしやすさがありました。しかしリモートワークでは遠隔地で仕事をするので、企業側の目が届きにくく管理しにくいデメリットが生まれます。
コミュニケーションの減少
オフィスでは、直接顔を合わせてコミュニケーションを取ることができます。しかしリモートワークでは直接のコミュニケーションは減少するので、信頼関係も築きにくくなり仕事への悪影響も考えられます。
「リモートワーク」と「テレワーク」が注目されている理由
リモートワークとテレワークはこれからの新しい働き方として注目されています。その大きな要因になったのが感染症のコロナウィルスです。現在、世界中でコロナウィルスは猛威をふるい、これまでに多くの人たちがなくなりました。そのため、感染を拡大させない対策の一つとして「複数の人が密になる状態を避ける」ことを意識して行われています。そして多くの企業では密になるのを避けるため、リモートワーク・テレワークを導入するようになりました。これは紹介したように企業にとっては「コスト削減」など、従業員には「時間に余裕が生まれる」などのメリットがあるので注目を集め、現在進行形で普及しています。
「リモートワーク」と「テレワーク」の導入事例
では実際にリモートワーク・テレワークを導入するようになった企業を2つ紹介しましょう。
キャノンS&S
キャノンS&Sはカメラやプリンターのメーカーとして有名なキャノンのグループ企業です。どの企業でもオフィスを維持するための高額の経費が掛かります。キャノンS&Sでは在宅勤務などを導入してオフィスコストの削減を実現しています。
日産自動車
日産自動車は10年前から製造工程を除いた全従業員を対象に在宅勤務を導入しました。日産が実施している在宅勤務ではルールを定めて、従業員の生活に合わせ生産性も向上するように工夫されています。
まとめ
リモートワークとテレワークについてお伝えした内容からも分かるように、名前は違いますが、どちらも同じ内容です。そして、これからリモートワーク・テレワークは、現在世界が陥っているコロナ禍を機会として、ますます普及が進みそうな様相です。ひょっとするとリモートワーク・テレワークが広まれば、これまでの社会構造や私たちの生活スタイルが大きく変わることも予想できます。