退去の立ち会いは必要?しない場合の写真記録と敷金精算の確認点

賃貸住宅を退去するとき、「立ち会いは必要なのか」「しない方がいいのか」「敷金は戻ってくるのか」で迷う人は多いようです。この記事では、国土交通省の参考資料(令和5年3月)・国土交通省のリーフレット「これでわかる!賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」・国民生活センターの注意喚起(2026年2月17日)・東京都消費生活総合センターの注意情報(2025年3月4日)など、国と公的機関の資料に書かれている内容だけをもとに整理しました。公的資料に書かれていなかったことは、推測で補わず「確認できなかった」と記しています。内容は2026年11月に各ページを読んで確認したもので、法律相談ではなく、一般的な案内のまとめです。
退去の立ち会いは、公的資料でどう書かれているか
国土交通省の参考資料(令和5年3月)には、退去時は賃借人と管理会社等が一緒に部屋の点検・確認を行い、その場で修繕が必要な部位を伝えられて、後日、請求書が送られることが多いと書かれています。管理会社等に尋ねた令和4年のアンケートでは、賃借人が立ち会って点検し、修繕が必要な部位をその場で伝え、精算書を後日送るという回答が約6割でした。一方で、割合は高くないものの、退去時の点検に賃借人の立ち会いを求めない場合も約7%あるとされています。
同じ資料は、トラブルを防ぐ観点から、退去時には賃借人と管理会社等が一緒に部屋を点検・確認し、修繕が必要な部位について認識を共有することが大切だと説明しています。国土交通省のリーフレット「これでわかる!賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」にも、多くの場合、賃貸人や管理業者の立ち会いのもとで、部屋や設備をどの程度修繕する必要があるか点検すると書かれています。
一方で、立ち会いが法律上の義務かどうかについては、今回読んだ資料では確認できませんでした。
立ち会いがない・できないとき
国土交通省の参考資料(令和5年3月)は、立ち会いがない場合は、退去前に写真を撮影しておくこともトラブル防止の観点から有用と考えられる、と書いています。東京都消費生活総合センターの注意情報(2025年3月4日)は、退去時の状態は後から証明するのが難しいため、貸主に退去時の立ち会いと確認を必ず求めること、日付の記録が残る写真を撮っておくことを勧めています。
国民生活センターの注意喚起(2026年2月17日)も、退去するときは入居時と同様に、できる限り貸主側と一緒に、写真を撮ったりメモを取ったりして記録を残しながら、賃貸住宅の現状を確認するよう案内しています。
寄せられた相談事例にも、立ち会いに関わるものがあります。東京都消費生活総合センターの注意情報(2025年3月4日)の事例では、退去時の立ち会いを貸主に求めたが「行けない」と言われ、敷金(1か月分)で足りると説明されたのに、後日、エアコンクリーニングやクロスの全面貼り替えなどを内訳とする68,000円の追加の請求書が届いたとされています。国民生活センターの「賃貸住宅の原状回復トラブル」には、立ち会いのときに特に原状回復が必要な箇所はないと言われたのに、後日、床の傷の修繕費用を求められた例が載っています。立ち会いがあっても、なくても、記録を残しておく意味があることがわかります。
「しない方がいい」かどうかについて
今回読んだ公的資料のなかに、立ち会いをしない方がよいと案内しているものは確認できませんでした。国土交通省・国民生活センター・東京都消費生活総合センターの資料は、いずれも、貸主側と一緒に確認すること、できなければ写真などの記録を残すことを勧めています。立ち会いのなかで言われたことが、後日の請求と食い違った事例もあるため、その場で受けた説明や確認した内容は、メモや写真に残しておくと役立つと考えられます。
原状回復と敷金の基本
国土交通省のリーフレット「これでわかる!賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」では、家賃の滞納等がなく、部屋をきれいに使えば敷金が返ってくること、使い方が悪くて部屋の中を傷つけたり、汚したり、設備を壊したりした場合は、退去時に修繕費用を請求されることが一般的だと説明しています。入居時に支払った敷金は、修繕費用等を差し引いたうえで賃貸人から返還され、修繕費用が敷金より多くかかる場合は、不足分を払わなければならないとのことです。
国土交通省の参考資料(令和5年3月)には、民法621条で、賃借人は通常の使用による損耗や経年変化を除く損傷について、賃貸借の終了時にそれを元に戻す義務を負うと書かれています。ただし、損傷が賃借人の責任によるものではない場合は、この限りではないとされています。通常損耗や経年変化は、賃借人が原状回復義務を負わないものと明記されています。
敷金がない物件については、国民生活センターの2023年2月の発表資料に、契約時に敷金を支払っていない場合は、敷金から原状回復費用を差し引くことができないため、退去時に支払う費用が高額になる可能性があると書かれています。
借主の負担になる例・ならない例
国土交通省のリーフレット「これでわかる!賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」に、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の考え方として、借主の負担になる例とならない例が挙げられています。契約書にガイドラインと異なる特約がある場合は、特約の内容が影響することがあります。
| 借主の負担になる例(故意・過失、手入れの不足など) | 借主の負担にならない例(貸主の負担) |
|---|---|
| 引っ越し作業で生じたひっかき傷 | 通常の清掃を行っている場合の、専門業者によるハウスクリーニング |
| 結露を放置して拡大したカビやシミ | 畳の裏返し・表替え |
| ペットによる壁などの傷 | 機器の寿命による設備の故障・使用不能 |
| タバコのヤニ・臭い | 冷蔵庫の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ) |
| 壁のくぎ穴・ネジ穴(エアコン設置によるものは除く) | 家具の設置跡 |
| 特約によるハウスクリーニング・エアコンクリーニング | エアコン(借主所有)設置によるビス穴・跡 |
国民生活センターの注意喚起(2026年2月17日)も、年月の経過による損耗や、普通に使っていても生じる汚れやキズについては、原則として借主の負担は不要と考えられる、と案内しています。ただし、エアコンクリーニング代のように、契約書や重要事項説明書にクリーニング費用の負担が書かれているケースもあるため、契約書の確認が欠かせません。
請求書が届いたときの確認
- 請求内容に不明な点があれば、管理会社等に請求内容の内訳を確認する(国土交通省の参考資料(令和5年3月))
- 納得できない請求には、国土交通省のガイドラインに示された基準を参考に、貸主側に費用の明細等の説明を求め、費用負担について話し合う(国民生活センターの注意喚起(2026年2月17日))
- 契約書に支払う旨の規定や特約がある場合は、支払う必要があると考えられるため、契約書の記載と請求書の記載を見比べる。内訳や算出根拠が不明なら、不動産業者や貸主に確認する(国土交通省「賃貸住宅の入居・退去に係る留意点」)
- 納得できない場合やトラブルになった場合は、消費生活センター等に相談する。全国共通の消費者ホットライン「188(いやや!)」で、最寄りの消費生活センター等につながる(国民生活センターの発表(2023年2月1日)・国民生活センターの注意喚起(2026年2月17日))
公的資料でわかる、退去前にやっておくこと
- 契約書の特約(クリーニング費用、原状回復の範囲など)を、早めに読み直す(国土交通省・国民生活センター)
- 入居時に撮影した写真や、物件状況のリストがあれば用意しておく(国土交通省の参考資料(令和5年3月))
- 退去前に、部屋の写真を撮っておく。立ち会いがあるときも、確認した箇所を写真やメモに残す(国土交通省・国民生活センター・東京都消費生活総合センター)
- 貸主の許可なく、リフォームや修繕をしない(国土交通省のリーフレット「これでわかる!賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」)
- エアコンは、設置に貸主の事前許可が必要で、退去時には撤去が必要(国土交通省のリーフレット「これでわかる!賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」)
国土交通省のリーフレット「これでわかる!賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」のページには、退去の通知の期限や、鍵の返却方法は書かれていませんでした。これらは契約書や管理会社に確認してください。
公的資料で確認できたことの比較
資料ごとの記載を表にまとめます。「確認できなかった」は、読んだ資料にその記載がなかったという意味です。
| 項目 | 国土交通省 | 国民生活センター | 東京都消費生活総合センター |
|---|---|---|---|
| 退去時の立ち会い | 賃借人と管理会社等が一緒に点検・確認し、認識を共有することが大切(立ち会いありは約6割、求めない場合は約7%) | 貸主側と一緒に、写真やメモで現状を確認する | 貸主に立ち会いと確認を必ず求める |
| 立ち会いがない場合 | 退去前に写真を撮影しておく | 記載を確認できなかった | 日付の記録が残る写真を撮っておく |
| 請求が届いたとき | 内訳を管理会社等に確認する | 貸主側に明細等の説明を求め、話し合う | 精算内容をよく確認し、納得できなければ貸主に説明を求める |
| 相談先 | 賃貸住宅の相談・情報提供窓口の案内あり | 消費者ホットライン188 | 東京都消費生活総合センター、188 |
| 敷金がいつまでに返るか | このページでは確認できなかった | 確認できなかった | 確認できなかった |
今回確認できなかったこと
- 退去の立ち会いが法律上の義務かどうか
- 敷金がいつまでに返還されるかの期限(契約書の定めを確認してください)
- 立ち会いのときに確認サインをした場合の効力についての、公的資料での整理(今回のページでは確認できませんでした)
- ハウスクリーニング代・クロス張り替え代などの、金額の相場
これらは、ほかのサイトの記述で補わず、空欄のままにしています。
まとめ
退去の立ち会いについて、公的資料は、貸主側と一緒に部屋の状態を確認し、写真やメモで記録を残すことを勧めています。立ち会いがない場合も、退去前の写真を撮っておくことが案内されていました。敷金は、修繕費用などを差し引いて返されるもので、通常の使用による損耗や経年変化は借主の負担にならないというのが基本的な考え方です。ただし、契約書の特約が影響することもあるので、請求書が届いたら、契約書と内訳を見比べ、納得できない点は貸主側に説明を求めてください。それでも解決しない場合は、消費者ホットライン188に相談できます。
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参考にした公的資料
- 国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に関する参考資料(令和5年3月)
- 国土交通省 これでわかる!賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント
- 国土交通省 賃貸住宅の入居・退去に係る留意点
- 国民生活センター 賃貸住宅の原状回復トラブルにご注意!(2026年2月17日)
- 国民生活センター 住み始める時から、「いつか出ていく時」に備えておこう!(2023年2月1日)
- 国民生活センター 賃貸住宅の原状回復トラブル
- 東京都消費生活総合センター 賃貸アパートの原状回復費用の請求額にびっくり!(2025年3月4日)
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